2022年 第 16 週 ~侵襲性肺炎球菌感染症~

2022年04月29日

  2022年 第 16 週(2022/4/18~2022/4/24)

【今週の注目疾患】
≪侵襲性肺炎球菌感染症≫
 2022 年第 16 週に県内医療機関から侵襲性肺炎球菌感染症(Invasive pneumococcal disease,IPD)の届出が 3 例あり、2022 年の累計は 11 例となった。
11 例のうち、性別では、男性が 6 例(55%)、女性が 5 例(45%)であった。
年代別では、65 歳以上が 7 例(64%)、0-4 歳が 3 例(27%)、50 代が 1 例(9%)であった。
ワクチン接種歴については、0-4 歳の 3 例すべてに、沈降 13 価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)4 回の接種歴があった。
65 歳以上の 2 例で接種歴なし、その他の 50 代、65 歳以上の 6 例は接種歴不明であった。

 2017 年から 2022 年第 16 週までに県内医療機関から IPD の届出が 575 例あった。
2018 年の165 例をピークにその後は減少傾向が続いており、特に新型コロナウイルス感染症の流行が始まった 2020 年以降の減少が顕著である。
性別では、男性 349 例(61%)、女性 226 例(39%)で男性が多い。
年代別では、65 歳以上が多かった。

 IPD は、Streptococcus pneumoniae が髄液・血液等の無菌部位から検出され IPD と診断した場合に医師が届け出る、感染症法に基づく 5 類感染症全数把握対象疾患である。
2013 年 4 月から届出の対象となった。
2016 年 11 月に検査材料(菌検出検体)の種類が変更され、髄液・血液に加え、その他の無菌部位が追加された1)。

 潜伏期間は不明であり、小児及び高齢者を中心とした発症が多く、小児と成人でその臨床的特徴が異なる。
小児は、肺炎を伴わず、発熱のみを初期症状とした感染巣のはっきりしない菌血症例が多い。
また、髄膜炎は、直接発症するもののほか、肺炎球菌性の中耳炎に続いて発症することがある。
成人は、発熱、咳嗽、喀痰、息切れを初期症状とした菌血症を伴う肺炎が多い。
髄膜炎例では、頭痛、発熱、痙攣、意識障害、髄膜刺激症状等の症状を示す2)。

 感染経路は主に飛沫感染である。
人と人との距離の確保、マスクの着用、手洗いなどの手指衛生が感染対策となる。
その他の IPD 発症予防として、肺炎球菌ワクチン接種が行われている1)。
2013 年 4 月から 5 歳未満の小児に対する沈降 7 価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7)が定期接種ワクチンとなり、2013 年 11 月には沈降 13 価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)に置き換わった。
2014 年 10 月からは高齢者を対象として 23 価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23)が定期接種ワクチンとなった3)。

 2023 年度までは、該当する年度に 65 歳、70 歳、75 歳、80 歳、85 歳、90 歳、95 歳、100 歳になる者と、60 歳から 65 歳未満の者で、心臓、腎臓、呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害やヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害がある者が定期接種の対象となっている。
但し、既に PPSV23 を接種した者は対象とならない4)。

 小児 IPD サーベイランスの報告によれば、2017 年の小児 IPD の罹患率は、PCV13 血清型による IPD が 97%減少する一方、非PCV13 血清型による罹患率は 304%増加しており、血清型置換が示唆されている。
今後も小児、成人の血清型置換の可能性があることから、原因菌の血清型分布を含め、その発生動向を注視していく必要がある3)。

■参考
1)国立感染症研究所:侵襲性肺炎球菌感染症の届出状況、2014 年第 1 週~2021 年第 35 週
>>詳細はこちら
2)厚生労働省:13 侵襲性肺炎球菌感染症
>>詳細はこちら
3)国立感染症研究所:IASR Vol. 39 2018 年 7 月号
>>詳細はこちら
4)厚生労働省:肺炎球菌感染症(高齢者)
>>詳細はこちら

【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和4(2022)年4月27日更新)

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