2022年 第 11 週 ~結核~

2022年03月25日

今週の注目疾患  
2022年 第 11 週(2022/3/14~2022/3/20)
【今週の注目疾患】

≪結核≫
 WHO は、結核についての公衆の意識と結核の世界的な流行を終わらせるための更なる努力を向上させるため、毎年 3 月 24 日を世界結核デー(World Tuberculosis Day)としている。
3 月24 日は 1882 年に Robert Koch が結核を引き起こす細菌を発見したと発表した日である。
2022年のテーマは「Invest to End TB. Save Lives」であり、結核との闘いを強化するためのより一層の注力を呼びかけている1)。

 県では、2022 年第 1 週から第 11 週までに結核の報告が 152 例あった。
県内における年間の累計報告数は 2016 年以降減少傾向にあり、2021 年は 851 例と過去 10 年間で最少であった。
本年は 2021 年の同時期(2021 年第 11 週 194 例)を更に下回っている。

 本年報告された 152 例のうち、性別では男性 95 例(62.5%)、女性 57 例(37.5%)と男性が多かった。
性別年代別患者割合では、男性は 70 代が 27%と最も多く、次いで 80 代が 23%であった。
一方、女性も最も多い年代は 70 代で 19%であるが、次いで 40 代 50 代がそれぞれ 18%と 40~50 代が多かった。
男女ともに 60 代以上の割合が増加している傾向が見られた。

 全国的にも結核の報告数は近年減少傾向にある。
しかし、近年の急速な報告数の減少は新型コロナウイルス感染症の流行による自治体での健診の延期や受診者自身による健診控えが要因とられている。

 結核患者の見逃しは、重症化だけでなく集団感染に繋がることが懸念される2)。
結核の感染経路は空気感染である。
菌を出している肺結核患者の咳やくしゃみなどの「しぶき」と一緒に結核菌が空気中に飛び散り、水分を失って数μmの軽い飛沫核となり、それを吸い込むことにより感染する。
感染をしても全ての人が発病をするわけではなく、健康であれば、免疫の働きによって抑え込むことができる。
しかし、病気などで免疫力が落ちると、抑え込まれていた結核菌が再活動を始め、発病をする可能性がある2)。

 初期症状は風邪に似た症状である。
痰のからむ咳・微熱・身体のだるさが2週間以上続く場合には、早期受診が勧奨される。
咳や痰、発熱などの症状が出ないこともあるので、体重減少・食欲がない・寝汗などがある場合にも早期受診を検討されたい2)。
 結核は肺結核が代表的であるが、それ以外にも頸部リンパ節結核、脊椎カリエス、腸結核、腎結核など全身の様々なところに病巣を形成する(肺外結核)。
菌が血流により全身に行きわたり(粟粒結核)、髄膜に到達する結核性髄膜炎などもある。
現在では、粟粒結核は早期発見により治癒の可能性が高まっているが、髄膜炎は 3 分の 1 が死亡し、脳に重い後遺症を残すことがある3)。

 結核の治療は無症状病原体保有者については、潜在性結核感染症として、数カ月間薬を服用することで発病を予防する。
患者についても、一定期間毎日複数の薬を服用して治療する。
不適切な断薬は治療に失敗するばかりでなく、結核菌の薬剤耐性化を招く。
確実な治療のため、入院中も退院後も医療従事者が服薬を見守る仕組みを DOTS といい、医療機関と保健所が協力して行う2)。
 また、小児の結核性髄膜炎や粟粒結核の予防には BCG 接種が極めて有効であり、1 回の接種で10~15 年程度効果が持続すると考えられている。
標準的な接種スケジュールは生後 5~8 カ月であり、市町村からの案内に従い接種する4)。

■参考
1)WHO: World Tuberculosis Day 2022
>>詳細はこちら
2)公益財団法人結核予防会結核研究所:結核の常識 2021
>>詳細はこちら
3)公益財団法人結核予防会結核研究所:結核の基礎知識
>>詳細はこちら
4)厚生労働省:結核と BCG ワクチンに関するQ&A
>>詳細はこちら

【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和4(2022)年3月23日更新)

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