2023年02月03日

2023年 第4週
(令和5年1月23日~令和5年1月29日)

【今週の注目疾患】
■インフルエンザ
 2023 年第 4 週の県全体のインフルエンザ定点当たり報告数は、前週(2023 年第 3 週)の 8.46(人)から減少して 7.54(人)となった。
保健所管内別では船橋市 14.29(人)、印旛 10.08 (人)で国が定める注意報の基準値(定点当たり報告数 10.0 人)を上回った。
2023 年第 4 週に報告のあった計 1590 例のうち、A 型 1407 例(88.5%)、B 型 22 例(1.4%)、型非鑑別キットで陽性 71 例(4.5%)、検査未実施(検査実施未確認例含む)90 例(5.7%)であり、A 型が多かった。

 2022/2023 シーズンの基幹定点医療機関を対象としたインフルエンザ入院サーベイランスによる入院患者総数は 2022 年第 52 週までは 0~2 人で推移していたが、2023 年第 1 週以降は3~5人で推移しており増加傾向がみられている 1)。
また、2023 年 1 月 29 日時点で県内医療機関よりインフルエンザウイルス A を病原体とする急性脳炎の届出が 2 例あった。
 2023 年第 3 週時点で全国の定点当たり報告数は 9.59(人)であった。
近隣都県の定点当たり報告数は、埼玉県 7.09(人)、東京都 8.50(人)、神奈川県 8.86(人)であった。
 インフルエンザは、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感等の症状が比較的急速に現れるのが特徴である。
小児ではまれに急性脳症を、高齢者や免疫力の低下している者では二次性の肺炎を伴う等、重症になることがある。高熱が続く、呼吸が苦しい、意識状態がおかしいなど具合が悪ければ早めに医療機関を受診されたい。
また、小児、未成年者では、インフルエンザの罹患により、急に走り出す、部屋から飛び出そうとする、ウロウロと歩き回る等の異常行動を起こすことがある。
自宅で療養する場合、インフルエンザと診断され治療が開始された後、少なくとも2日間は、小児・未成年者が一人にならないなどの配慮が必要である 2)。
 インフルエンザ予防のため、ワクチン接種と引き続き基本的な感染対策の徹底を心がけていただきたい 2,3)。

■参考
1)千葉県:インフルエンザ情報
>>詳細はこちら
2)厚生労働省:令和4年度インフルエンザ Q&A
>>詳細はこちら
3)千葉県:インフルエンザから身を守ろう
>>詳細はこちら

■感染性胃腸炎
 2023 年第 4 週に県内定点医療機関から報告された感染性胃腸炎の定点当たり報告数は、前週(2023 年第 3 週)の 10.17(人)から減少し、8.94(人)となった。
前週は過去 5 シーズンで最も高い定点当たり報告数となり、今週も第 4 週としては過去 5 シーズンで最も高い定点当たり報告数となった。
保健所管内別では、船橋市 14.09(人)、印旛 12.06(人)、香取 11.33(人)からの報告が多かった。
 今シーズンは県内でノロウイルスやサポウイルスによる感染性胃腸炎集団発生事例が複数報告されている。
感染性胃腸炎は多種多様な病原体の関与が想定され、一定の疫学パターンをとらないことが予想されるが、例年ウイルス性、特にノロウイルスやサポウイルスによる流行が冬季にピークを形成する。
今後も報告数の多い状況が続くことが予想されることから、感染対策を徹底されたい。

 現在ノロウイルス・サポウイルスによる感染性胃腸炎に使用可能なワクチンはなく、感染を予防するためには、食品類の十分な加熱、石けんと流水による手洗いの励行、嘔吐物・糞便等の迅速かつ適切な処理(飛散しないようペーパータオル等で静かにふき取る、市販の凝固剤等を使用する等)および次亜塩素酸ナトリウムによる汚染区域の消毒が重要となる。
手指に付着しているウイルスを減らす最も有効な方法は石けんと流水による手洗いである。
調理や食事の提供を行う前、食事の前、トイレの後は必ず手洗いを行う。
また、手袋をしている場合であっても、嘔吐物・糞便等の処理やオムツ交換を行った後は必ず手洗いを行うことが重要である 4)。
現在、新型コロナウイルス感染症の感染予防策として、消毒用エタノールによる手指消毒が推奨されているが、ノロウイルスは消毒用エタノールのみでは効果が期待できないことから、石けんと流水を用いた手洗いの代用にはならないことに注意する必要がある。

■参考
4) 厚生労働省:ノロウイルスに関するQ&A
>>詳細はこちら

【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和5(2023)年2月1日更新)