2022年 第 14 週 ~E型肝炎~

2022年04月15日

  2022年 第 14 週(2022/4/4~2022/4/10)

【今週の注目疾患】
≪E型肝炎≫
 2022 年第 14 週に市川保健所管内から E 型肝炎の報告が 1 例あった。
第 8 週から毎週報告があり、増加傾向が継続している。
2022 年の累積報告数は 18 例となり、これまでに最多であった 2021年の同時期の 1.5 倍となっており(2021 年第 14 週累積報告数 12 例)、過去 10 年間で最多の報告数となっている。

 性別では、男性が 15 例(83%)、女性が 3 例(17%)であり、男性が多かった。
年代別では、男性では 40 代が 5 例(33%)と最も多く、次いで 30 代が 3 例(20%)であった。女性では 50代が 2 例(67%)、20 代が 1 例(33%)であった。
推定される感染原因に記載があったものは 5例であり、ジビエ 1 例、食肉(豚・牛・鳥・焼肉)3 例、湧き水 1 例(湧き水と食肉重複 1 例あり)、生ガキ 1 例であった。そのほか 13 例は不明であった。

 E 型肝炎は, ヘペウイルス科(Hepeviridae)の E 型肝炎ウイルス(hepatitis E virus: HEV)の感染によって引き起こされる急性肝炎である。
潜伏期間は 15~60 日と長い。
発熱、全身倦怠感、悪心、嘔吐、食欲不振、腹痛等の症状を伴い、黄疸が認められるが、不顕性感染も多い。
従来は慢性化しないと考えられていたが、臓器移植患者など免疫抑制状態にある患者の HEV 感染が慢性的な感染を引き起こすことがある。
感染経路は、いわゆる途上国や衛生状況の悪い難民キャンプ等では患者の糞便中に排泄されたウイルスによる経口感染が主で、大規模な集団発生が報告されている。一方、日本をはじめ世界各地で、E 型肝炎は人獣共通感染症として注目されている1)。

 ヒトに感染する HEV は、ヘペウイルス科 Orthohepevirus 属の 4 つの種のうち Orthohepevirus A に属する。
Orthohepevirus A はさらに 8 種の遺伝子型(G1-G8)、36 種のサブタイプに分類されている。
ヒトに感染する HEV は主に G1-G4 の 4 つの遺伝子型で、途上国で比較的大きな地域流行を起こすウイルスは主に G1 である。
先進国では主に G3 による E 型肝炎が散発的に報告されている。
G3 および G4 は、ブタやイノシシに感染するため、加熱不十分なこれらの動物の内臓肉等の喫食が、国内の主な感染要因と考えられている1)。

 E 型肝炎の流行状況を調査するため、厚生労働省は「E 型肝炎発生時の検体の確保等について」を発出し、各自治体に患者検体の確保、もしくはウイルス解析情報の提出を依頼している2)。
E型肝炎は一般的に潜伏期間が長く、聞き取りによる感染源・感染経路の調査が困難である場合が多いため、事例発生時には糞便や原因と疑われる食品等の検体を確保し、分子疫学的手法を用いた解析を実施することで、集団発生の動向確認の一助とすることが可能である。
過去に国内においても病原体検査によって食品の摂食と E 型肝炎の発症との直接的な関係が確認された事例の報告がある3)。

 HEV の感染経路は経口感染であり、ウイルスに汚染された食物、水の摂取により感染することが多い。
現時点で認可されているワクチンはないため、予防には手洗い、飲食物の十分な加熱が重要となる。
また、E 型肝炎流行地域へ旅行する際は、清潔の保証がない飲料水(氷入り清涼飲料を含む)、貝類、果物、野菜をとらないように注意する必要がある3)。
 平成 27 年 6 月 12 日から食品衛生法に基づいて、豚の肉や内臓を生食用として販売・提供することを禁止している。
また、厚生労働省は、シカやイノシシなどの野生鳥獣の肉や内臓は生食せず、中心部まで加熱するよう呼び掛けている。
特に抵抗力の弱い小児や高齢者は注意をする必要がある4)。
中心部の温度が 63℃に達してから 30 分間以上、もしくは中心部の温度が 75℃に達してから 1 分間以上加熱をすると、HEV のリスク低減に一定の効果があるとされる。
しかし、調理の際には、調理方法や食肉の部位、肉の厚さや大きさなどにより、中心部の温度が上昇するまでに要する加熱時間が異なることも考慮する必要がある。
豚の食肉等を生で喫食しないこと、現実的な範囲におけるより高い温度で加熱することが重要である5)。

■参考
1)国立感染症研究所:IASR Vol. 42 p271-272: 2021 年 12 月号
>>詳細はこちら
2)2016(平成 28)年 8 月 16 日 健感発 0816 第 3 号 生食監発 0816 第 2 号
>>詳細はこちら
3)厚生労働省:E 型肝炎ウイルスの感染事例・E型肝炎Q&A
>>詳細はこちら
4)厚生労働省:豚のお肉や内臓を生食するのは、やめましょう
>>詳細はこちら
5)厚生労働省:平成 27 年 5 月 27 日 食品衛生分科会 資料
上記4)ホームページに掲載

【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和4(2022)年4月13日更新)

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