2022年 第 5 週 ~鳥インフルエンザ A(H5N1)~

2022年02月11日

今週の注目疾患  
2022年 第 4 週(2022/1/31~2022/2/6)
【今週の注目疾患】

≪鳥インフルエンザ A(H5N1)≫
 2022 年 1 月に鳥インフルエンザ A(H5N1)の鳥類患畜が県内で 2 例報告された。
令和 3 年度(2021/22 シーズン)の県内累積報告数は 3 例となった。
2 例目の発生場所は八街市で、1 月 19日に肉用鶏が疑似患畜と確認された。
1 月 24 日に当該施設における防疫措置(殺処分及び施設の清掃・消毒等)が完了した。
3 例目の発生場所は匝瑳市で、1 月 26 日にあひるが疑似患畜と確認された。
1 月 27 日に当該施設における防疫措置が完了した1)。
なお、人への感染は報告されていない。
 日本では、平成 29 年度(2017/18 シーズン)から令和 3 年度(2021/22 シーズン)までの間に68 事例の報告があり、全て 11 月から 3 月の期間に報告されている。
令和 2 年度(2020/21 シーズン)は全国で 52 事例の高病原性鳥インフルエンザの家きん等感染事例報告があった。
亜型は全て A(H5N8)であり、うち 11 事例(21%)が県の事例であった。
令和 3 年度(2021/22 シーズン)は全国で 15 事例が報告されており、うち 3 事例(20%)が県の事例であった。
15 事例の亜型は A(H5N1)が 13 事例(87%)、A(H5N8)が 2 事例(13%)であった。
県の事例は 3 事例ともに A(H5N1)であった(2022 年 2 月 4 日時点)2)。

 近年は、N7 を除く N1-N9 NA 亜型の高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)を引きおこす A/H5亜型ウイルスが家きんや野鳥に蔓延し、2020 年 9 月以降、世界各地の家きんや野鳥から A/H5 亜型ウイルスが検出され、2016/17 シーズン以来の大流行となっている3)。
 A/H5 亜型ウイルスのうち、人感染例の報告があるのは、HPAI の A(H5N1)、A(H5N6)、A(H5N8)ウイルスである3)。
いずれもほとんどが家きん等の鳥類との濃厚接触歴がある症例であり、これまでに持続的な人-人感染例の報告は確認されていない4)。
 世界保健機関(WHO)によると、2003 年以来、世界中で合計 863 例の高病原性鳥インフルエンザ A(H5N1)の人感染例が報告されている。
最近では、2022 年 1 月 6 日にイギリスから国内初となる高病原性鳥インフルエンザ A(H5N1)の人感染例の報告があった5)。
 ヨーロッパ地域では 2021/22 年シーズンに野鳥や家きん等の高病原性鳥インフルエンザ A/H5亜型の発生が増加している。
本症例についても、飼育していたアヒル複数羽から高病原性鳥インフルエンザ A(H5N1)が検出された後、人感染が確認された。
当該感染者は個人用防護具(PPE)を着用しておらず、室内の閉鎖的空間で多数の罹患した鳥類との濃厚接触が疑われた 6)。
 鳥インフルエンザは主に鳥に対して感染性を示す A 型インフルエンザウイルスの人獣共通感染症である。
A 型インフルエンザウイルスはウイルスの表面にあるたんぱく質 HA(ヘマグルチニン)と NA(ノイラミニダーゼ)の性状により、16 の HA 亜型と 9 の NA 亜型に分類され、感染性や重症度は感染した動物やウイルスの系統によって異なる。
16 の HA 亜型のうち、これまでH5 亜型と H7 亜型から高病原性鳥インフルエンザウイルスが出現している7)。
国の感染症法ではA(H5N1)と A(H7N9)鳥インフルエンザが 2 類感染症に指定されており、それ以外の亜型の鳥インフルエンザは 4 類感染症に指定されている。
 鳥インフルエンザは感染した鳥やその排せつ物、死体、臓器等に濃厚接触したなど特殊な状況を除き、通常人に感染することはほとんどないと考えられている。
しかし、人が鳥インフルエンザ A(H5N1)に感染した場合には、重篤な症状になることが多い4)。
また、野鳥や家きん間で感染を繰り返すうちにウイルス変異が生じ、新たな特性を有する高病原性ウイルスが出現する可能性も否定できないため、注意が必要である。

 現時点で認可されているワクチンはない。
日常生活においては、野鳥など野生動物の排泄物に触れた場合には、手洗い・うがいをすることが基本的な予防対策となる。
また、野鳥やその死体は体内や羽毛などに細菌や寄生虫などの病原体を持っていることがあるため、素手で触らないようにすることが重要である7)。

 なお、鳥インフルエンザが発生した場合でも家畜伝染病予防法により感染が確認された鶏の肉や卵が市場に出回ることはない。
また、内閣府食品安全委員会は万が一鶏肉・鶏卵に鳥インフルエンザウイルスが存在したとしても、熱や酸に弱いことから、十分な加熱調理や胃酸などの消化液により死滅するため、鶏肉・鶏卵を食べることにより感染することはないという考えを示している2)。

■参考
1)千葉県:高病原性鳥インフルエンザについて~県民の方々へ~
>>詳細はこちら
2)農林水産省:鳥インフルエンザに関する情報
>>詳細はこちら
3)国立感染症研究所:IASR Vol. 42, No.11 (No. 501)
>>詳細はこちら
4)厚生労働省:鳥インフルエンザについて
>>詳細はこちら
5)WHO:Influenza A(H5)-United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland
>>詳細はこちら
6)ECDC_Eurosurveillance:A case of avian influenza(H5N1)in England
>>詳細はこちら
7)千葉県:野鳥における鳥インフルエンザについて
>>詳細はこちら


【千葉県感染症情報センターより参照】
(令和4(2022)年2月9日更新)

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