習志野市予防接種情報提供サービス

2024年 第11週
~細菌性赤痢、
新型コロナウイルス感染症
(COVID-19)~

2024年03月22日

2024年 第11週
(令和6年3月11日~令和6年3月17日)

【今週の注目疾患】
■細菌性赤痢
 2024 年第 11 週に県内医療機関から本年初となる細菌性赤痢の届出が 1 例あった。
菌種はShigella sonnei であった。
推定感染地域は国外(アジア地域)であった。
 2015 年から 2024 年第 11 週までに県内医療機関から細菌性赤痢の届出が 33 例あり、患者が 28例(85%)、無症状病原体保有者が 5 例(15%)であった。
年代別では 30 代が 11 例(33%)と最も多く、次いで 20 代が 10 例(30%)、60 代が 5 例(15%)であり、20 代~30 代が約 6 割を占めた。
菌種は S. sonnei が 17 例(52%)、S. flexneri が 11 例(33%)、未記載等が 5 例(15%)であった。
 推定される感染地域は、国外 22 例(67%)、国内 10 例(30%)、不明 1 例(3%)であり、国外が約 7 割を占めた。
国外での感染が推定される 22 例の推定感染地域は、アジア地域が 19例、南米地域 2 例、中米地域が 1 例であった。
 推定される感染経路は、推定感染地域が国外の 22 例では経口感染 13 例、不明 9 例であり、推定感染地域が国内の 10 例では接触感染 3 例、経口感染 2 例、不明 5 例であった。
感染原因と推定された飲食物は、国外での野菜や魚介類などの生食、水、氷などがあげられていた。
接触感染では家族からの感染と推定されていた。

 日本の輸入細菌性赤痢症例の動向については、2018 年 136 例、2019 年 68 例、2020 年 15 例、2021 年 2 例、2022 年 3 例と、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行開始以降は届出数が減少したが、昨年 2023 年は 1 月から 9 月までに 18 例の輸入症例の届出があり、9 か月で2020 年~2022 年の各年の年間届出数を上回っているため、今後の発生動向に注意が必要である。
2022 年 10 月から 2023 年 9 月までの 1 年間の輸入症例 19 例における推定感染地域として多かったのは、インドネシア(7 例)、インド(6 例)であった 1)。

 細菌性赤痢の原因菌は赤痢菌(Shigella)である。
Shigella 属には 4 菌種(S. dysenteriae、S.flexneri、S. boydii、S. sonnei)が含まれ、国内例の多くは S. sonnei による。
通常、潜伏期 1~3 日で発症し、全身の倦怠感、悪寒を伴う急激な発熱、水様性下痢を呈する。
発熱は 1~2 日続き、腹痛、しぶり腹(テネスムス)、膿粘血便などの赤痢症状を呈する。
S. dysenteriae や S. flexneriは典型的な症状を起こすことが多いが、S. sonnei の場合は軽度な下痢あるいは無症状に経過することが多い 2)。
 患者や無症状病原体保有者の糞便、それらに汚染された手指、食品、水、ハエ、器物を介して直接あるいは間接的に感染する。
感染菌量は 10~100 個と極めて少なく、家庭内での二次感染も多い 2)。
また、保育園、幼稚園、小学校での集団感染も報告されている 3-5)。
 細菌性赤痢は世界中どこでもみられる感染症で、特に衛生状態の悪い国に多くみられる 6)。
予防の基本は、細菌性赤痢の汚染が考えられる地域では生もの、生水、氷などは飲食しないことが重要である。
また、国内では、家庭内や施設内での 2 次感染に注意が必要であり、手洗いの励行といった基本的な感染予防の実践が重要となる2)。
 厚生労働省は、自治体に対して通知を発出し、細菌性赤痢、コレラ、腸チフス及びパラチフスについて、感染症及び食中毒事例において患者便等から病原菌が分離された場合、国立感染症研究所に菌株を送付するよう求めている 7)。
 医療機関の皆様におかれましては、保健所から検体分与の依頼があった場合にはご協力をお願いします。

■参考・引用
1)国立感染症研究所:日本の輸入感染症例の動向について(2024 年 2 月 20 日更新版)
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2)国立感染症研究所:細菌性赤痢とは
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3)IASR Vol. 33 p. 245-247: 2012 年 9 月号. 保育園で発生した細菌性赤痢の集団感染事例
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4)IASR Vol. 38 p.103-104: 2017 年 5 月号. 幼稚園で発生した細菌性赤痢の集団感染事例
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5)IASR Vol. 22 p. 84: 2001 年 4 月号. 小学校で発生した細菌性赤痢集団感染事例
>>詳細はこちら
6)厚生労働省検疫所 FORTH:細菌性赤痢
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7)平成 20 年 10 月 9 日付け健感発第 1009001 号/食安監発第 1009002 号 厚生労働省健康局
結核感染症課長/医薬食品局食品安全部監視安全課長通知「赤痢菌等の菌株の送付について」
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【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況】
 2024 年第 11 週の県全体の定点当たり報告数は、前週の 7.59 人から減少し、7.00 人であった。
 地域別では、海匝( 14.00 )、 君 津(12.92)、長生(12.43)保健所管内で患者報告数が多かった。

(令和6(2024)年3月21日更新)

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