2015年06月26日
伝染性紅斑(りんご病)について
伝染性紅斑は皮膚の発しんを主な症状とするウイルス性の疾患で、一般的に「りんご病」と呼ばれます。年によって発生に差がみられますが、昨年秋より過去5年平均を大きく上回る状況が続いています。
先週1週間における東京都内の患者の報告数は警報基準を超え、大きな流行となっており、伝染性紅斑の患者の約71%は6歳以下の小児となっています。
家庭での手洗いの習慣づけなど感染予防にご協力をお願いします。
【伝染性紅斑(りんご病)とは】
ヒトパルボウイルスB19 を原因とする感染症で、約10日(4日〜最大20日)の潜伏期間の後、両頬の境界がはっきりした発しんが現れ、体や手足にも網目状の発しんが出現し、かゆみを伴う場合があります。発しんは7日から10日程度で消失します。また、発しんが現れる数日前に、微熱やかぜ症状が見られることがあります。
成人の約半数は幼少期にヒトパルボウイルスに感染し、免疫がすでにあると言われています。成人が感染した場合、発疹に加えて1〜2週間続く手首・ひざの痛みや腫れが見られることもあります。
妊娠中にパルボウイルスに感染した場合、母体や胎児に影響が出ることはまれですが、感染した妊婦の5%以下(主に妊娠前期)に胎児水腫(胎児の循環障害等)や流産が生じることがあります。
【治療について】
特別な治療法はありません。必要に応じて対症療法を行います。
【感染経路と予防について】
伝染性紅斑にかかった人の咳やくしゃみ、つばなどのしぶきに含まれるウイルスによって感染します(飛まつ感染)。また、水疱の内容物や便に排出されたウイルスが手などを介し、口や眼などの粘膜に入って感染します(経口・接触感染)。伝染性紅斑は他の発しんを伴う疾患と異なり、熱などの前駆症状のとき最も感染力が強く、発しんが現れた時には人への感染の可能性はなくなります。
予防接種はありません。外から帰った後、食事の前、トイレの後などに手洗いを行うことが最も大切です。また、お子さんの年齢に応じて、咳エチケットについて伝えることも大切です。