2015年10月30日

感染性胃腸炎について
 毎年、秋から冬にかけて流行する感染症です。
特に、ノロウイルスを原因とする感染性胃腸炎は、保育園や学校など集団生活の場で流行することもあり、ピークを迎える冬場には注意が必要です。
 また、今年の1月以降、新たな変異型のノロウイルスが国内や中国で検出されています。この変異型が大流行のきっかけとなるかは予測できませんが、冬場に向けて十分な注意が必要です。

【感染性胃腸炎とは】
 主にウイルスなどの微生物を原因とする胃腸炎の総称です。原因となるウイルスには「ノロウイルス」「サポウイルス」「ロタウイルス」「アデノウイルス」などがあります。

【症状】
 原因となるウイルスにより異なりますが、潜伏期間は1~3日程度です。ノロウイルスによる胃腸炎では、主な症状は吐き気、おう吐、下痢、発熱、腹痛であり、小児ではおう吐、成人では下痢が多いです。有症期間は平均1~2日です。ロタウイルスによる胃腸炎では、おう吐、下痢、発熱がみられ、乳児ではけいれんを起こすこともあります。有症期間は平均5~6日です。感染しても発症しない場合や、軽い風邪のような症状の場合もあります。

【感染経路】
 ウイルスが付着した手で口に触れることによる感染(接触感染)、汚染された食品を食べることによる感染(経口感染)があります。

【ノロウイルスの感染経路】
 ノロウイルスによる感染性胃腸炎は、ヒトからヒトへの感染と、汚染した食品を介しておこる食中毒に分けられ、次のような感染経路があります。
・感染した人の便やおう吐物に触れた手指を介してウイルスが口に入った場合
・便やおう吐物が乾燥して、細かな塵と舞い上がり、その塵と一緒にウイルスを体内に取り込んだ場合
・感染した人が十分に手を洗わず調理した食品を食べた場合
・ウイルスを内臓に取り込んだカキなどの二枚貝を、生または不十分な加熱処理で食べた場合


【治療について】
 特別な治療法はなく、つらい症状を軽減するための処置(対症療法)が行われます。
乳幼児や高齢者は下痢等による脱水症状を生じることがありますので早めに医療機関を受診することが大切です。おう吐の症状がおさまったら少しずつ水分を補給し、安静に努め、回復期には消化しやすい食事をとるよう心がけましょう。
 また、症状があるときはできるだけ自宅療養を優先し、周囲の人にうつさない配慮が望まれます。

【予防のポイント】
・こまめな手洗いを習慣づけましょう。(多くの感染症に共通する重要な予防策です)
 特に、トイレ後、調理や食事前は、その都度、石鹸と流水で十分に手を洗いましょう。
・おう吐物やふん便は、次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)を使用し、適切に処理しましょう。
・おう吐物やふん便の処理をする際は、使い捨ての手袋、マスク、エプロンを着用し、処理が終わったら、石鹸と流水で十分に手洗いをしましょう。
・ノロウイルスはカキなどの二枚貝に潜んでいることがあります。調理する際は、中心部まで十分に加熱しましょう。(中心温度85~90℃で少なくとも90秒間の加熱が必要です)