2014年10月07日

 皮膚の発しんを主な症状とするウイルス性の疾患で、一般的に「りんご病」と呼ばれます。年によって変動はありますが、毎年春から夏にかけて流行がみられます。
 患者さんの約6割が5歳以下で、4歳から5歳のお子さんが多いといわれています。

【伝染性紅斑(りんご病)とは】
 ヒトパルボウイルスB19 を原因とする感染症で、約10日(4日〜最大20日)の潜伏期間の後、両頬の境界がはっきりした発しんが現れ、体や手足にも網目状の発しんが出現し、かゆみを伴う場合があります。発しんは7日から10日で消失します。また、発しんが現れる数日前に、微熱やかぜ症状が見られることがあります。
 成人の約半数は幼少期にヒトパルボウイルスに感染し、免疫がすでにあると言われています。成人が感染した場合、発疹に加えて1〜2週間続く手首・ひざの痛みや腫れが見られることもあります。
 妊娠中にパルボウイルスに感染した場合、母体や胎児に影響が出ることはまれですが、感染した妊婦の5%以下(主に妊娠前期)に胎児水腫(胎児の循環障害等)や流産が生じることがあります。

【治療について】
 特別な治療法はありません。必要に応じて対症療法を行います。

【感染経路と予防について】
 伝染性紅斑にかかった人の咳やくしゃみ、つばなどのしぶきに含まれるウイルスによって感染します(飛まつ感染)。また、水疱の内容物や便に排出されたウイルスが手などを介し、口や眼などの粘膜に入って感染します(経口・接触感染)。伝染性紅斑は他の発しんを伴う疾患と異なり、熱などの前駆症状のとき最も感染力が強く、発しんが現れた時には人への感染の可能性はなくなります。
予防接種はありません。外から帰った後、食事の前、トイレの後などに手洗いを行うことが最も大切です。また、お子さんの年齢に応じて、咳エチケットについて伝えることも大切です。