2014年10月23日
毎年秋から冬にかけて主に乳幼児で流行する感染症です。
患者さんの8割以上が2歳以下のお子さんといわれています。
【RSウイルス感染症とは】
RSウイルスによる感染症で、上気道感染、細気管支炎、肺炎のような下気道感染を引き起こします。主な症状は鼻水、咽頭痛、咳、頭痛、倦怠感、発熱などで、風邪と見分けるのは困難です。
2歳までにはほとんどすべての児がRSウイルスに感染するといわれており、乳幼児が感染すると、25〜40%が細気管支炎や肺炎をおこし、0.5〜2%は入院が必要となり、入院するのはほとんどが6 カ月未満の乳児です。終生免疫は獲得されないため、どの年齢でも再感染は起こりますが、一般的には年長児以降では重症化はしません。
低出生体重児、心疾患、肺疾患、免疫不全のある方は、重症化のリスクが高いといわれています。
【治療について】
特効薬はなく、治療は安静、補液、去痰剤の投与などの対症療法が中心となります。
【感染経路と予防について】
ウイルスを含むしぶき(飛まつ)がくしゃみや咳で空気中に放出され、それを吸い込む、あるいは飛まつが鼻、口や目に接触することで感染します。
潜伏期間は2〜7日(通常4〜5日)です。ウイルスは、通常3〜8日間排出されますが、乳児や免疫力が低下した人では4週間にわたって排泄される可能性があります。
早産児や慢性呼吸器疾患を有するハイリスクな乳幼児には、重症のRSウイルス疾患を予防するためにパリビズマブ(抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体)という薬を使用する場合があります。使用については医師の判断になります。
RSウイルスワクチン開発への取り組みは行われていますが、まだ利用できるものはありません。
予防のポイントは手洗いと咳エチケットです。